きっかけは日本で出会ったイタリア美術
イタリアの芸術に興味を持つようになったのは、高校生の時。東京都美術館で開催されたボルゲーゼ美術館展でカラヴァッジョをはじめとするイタリア・バロック絵画に出会い、とても感銘を受けました。美術史研究のためのイタリア留学を将来の目標に据え、イタリアの大学と交換留学制度がある大学へ入学を決めました。念願叶って、トスカーナ州・シエナの地に着いた時は、感動で思わず涙ぐみそうになったのを覚えています。シエナといえば、芸術の街。様々な国籍の学生が、中世の印象が色濃く残る世界遺産の街で暮らしています。
授業では、慣れないイタリア語での授業に悪戦苦闘の日々。iPhoneに授業内容を録音し、教授からPowerPointのデータを譲っていただいて復習に明け暮れる毎日でしたが、留学中に辛いと思ったことはほとんどありません。
シエナで過ごした一年間は、人生の宝
唯一苦手だったのが、口頭試験です。イタリアの学校では、先生と、一対一の口頭試験が主流。人前で話すことや要点を簡潔にまとめて話すことが苦手だった私にはかなりの負担でした。それでも真剣に努力すれば、たとえつたないイタリア語でも、伝えたいことは確実に伝わることを学びました。
帰国後、シエナで一緒に学んだ友人が、私の通う大学に交換留学で来日し、交流を通してイタリア語の学習を続けています。また、現在ミラノ万博の日本館アテンダントとして留学の経験を活かしています。大勢のお客さまの前で話す機会が多いですが、留学中に克服したことが自信となって毎日やりがいを感じています。苦手なことに真剣に取り組む大切さを教えてくれたこの一年は、私にとって人生の宝物です。