和のものづくりをイタリアのセンスで飛躍させたい
大学でデザイン工学を学び、将来はユーザーの心を動かし、毎日が楽しくなるような製品を生み出すプロダクトデザインのプロを目指しています。以前から日本の伝統工芸品や伝統文化が好きで、日本のものづくりの精緻さ・質の高さを誇りに思い、自分のデザインにもこうした感性や価値観を盛り込み、日本の素晴らしさを多くの人に感じてもらいたいと考えていました。けれど他の国についてよく知らない自分が「日本の魅力」をアピールしても、説得力がないのではという気もしていました。
そんな時、奥山清行さん(工業デザイナーで、フェラーリなどのカーデザインも担当)の著書を読み、日本と同様、手工芸や職人技術に理解が深いというイタリアが気になり、デザイン力の向上と日本について客観的な理解を深めるため、イタリアの大学院で学ぶことを決意。留学先には、在籍中の日本の大学との提携で学位が取得でき、工業系統とデザイン系統が適度に混在している校風が魅力で、ミラノ工科大学を選びました。
グループ学習の成果を高めるために
いざ授業が始まると、覚悟はしていたものの不慣れなグループ学習に振り回されました。初学期のあるグループワークでは、ほとんど発言できずにいるうちに、英語ではなくイタリア語で議論が進むようになってしまいました。せめて作業量ではグループに貢献できるようにがんばりましたが、苦い思い出です。
そこで、次学期のグループ学習では、周囲と比べて自分が得意と感じた「細部に気を配る」ことを意識するようにし、あまり発言しない人に話を促したり、タスクを頼む際に予め相手が忘れそうな注意事項を伝えたりと工夫した結果、チーム内の結束も強まり、成績面でも高評価を獲得できました。


イタリア留学で実感していること
イタリアで日本の良さを深く見つめる
これまで何でも一人でやり遂げようとしがちでした。個人ではなくチームで動くということ、またそのチームのために貢献しようという姿勢の大切さを、身をもって学ぶことができたのは、イタリアに来て得た大きな成果の一つだと感じています。 また、地方色が豊かで、ものづくりへの理解も深いという共通点を持ちながら、日本とは異なる文化や価値観を持つイタリア。ここで過ごす留学生活を通じて、日本を見つめなおし、また日本の魅力や可能性、そして役割などについての理解をもっと深め、探っていきたいと思います。