イタリアからスイスへ。イタリア留学を礎に可能性を広げる。

鮎澤 由香理

さん

ローマの名門音楽院に留学。
オペラが誕生した国、イタリアの本場で声楽とイタリア語を学びたい。

留学体験談

本場の環境で、声楽とイタリア語を学ぶということ

オペラが誕生した国、そして私がオペラ歌手を目指すきっかけを作ってくれたローマで、声楽やイタリア語を本来の環境の中で学びたいと思い、留学を決意しました。 サンタ・チェチーリア音楽院は、数多くの作品を保管しており、特に新古典主義の基になったルネッサンスやバロック時代の楽曲が豊富であることが魅力的でこの音楽院を選びました。
音楽院での授業内容は音楽史や劇場史、和声、ソルフェージュ(楽譜を読むなどの基礎訓練)、アルテ・シェーニカ(舞台表現法)など多岐に渡ります。 主な科目は日本の音楽大学での授業科目と似ていますが、口頭ベースの試験も多く、イタリア語での学校生活は大変でした。 日常会話はある程度できる自信はあったものの、それでも先生の知識の深さや広さを理解し、歴史的、文化的背景から音楽を学んでいくためには、日々イタリア語との格闘が必要でした。

オペラ公演の舞台
オペラ公演の舞台

イタリア留学からステップアップしてスイスへ

イタリアでの4年を経たことで、更に飛躍するためにローマ以外の環境にも身を置きたいと考えるようになりました。そこで「エラスムス+」(EU諸国間における交換留学制度)の機会を得て、スイスのローザンヌへの留学を決意。 おおらかなイタリアと違い、定刻に電車が来たり、真面目で約束を守る国民性など、スイスは日本人にとってなじみやすい国だと思います。
音楽を学ぶ観点では、クラシック音楽の歴史は浅く、教育方法も近隣諸国の良さを取り入れ、より効率よく発展させてきた点は日本と似ていると感じました。 臨機応変さが必要なイタリアと、誠実さと精密さを重視するスイス。対照的な二つの国で学べたのは、非常に有意義でした。 イタリア語とフランス語で生活した経験をふまえ、どこにでも臆することなく飛びこんでいける度胸と、単なる技術でなく音楽に対する姿勢を身につけることができました。

浴衣で演奏
浴衣で演奏

 

  • 入学試験について教えてください。
  • まず伊語試験(文法などの筆記+口頭試問)を受け、合格者のみ実技試験へ。Triennioはコンコーネなどの練習曲3曲、歌曲2曲、オペラアリア2曲を用意した中から指定またはくじ引きで決まった各1曲を審査員の前で歌う。その後、簡単なソルフェージュ(聴音、新曲視唱、リズム読み)の質問に回答。Biennioは30分のプログラムを提出し、その場で指定された曲を歌う、という内容でした。ただし、学校により試験内容や時期などは違うので、常に最新情報の確認が必要です。
  • こ入学試験で困ったことは? またその解決法を教えてください。
  • 何をするにしても時間がかかります。自分の順番まで最低3時間以上は待機する覚悟が必要。とにかく余裕を持って行動し、受験名簿に名前がないといったハプニングが起こっても、どうしても聴いてほしいという意思を伝えたり、歌わせてもらえるまで待ち続けるなど、どんなことが起こっても諦めなければ、道は開けます。
  • 持って行って便利だったものは?
  • 箱ティッシュ。イタリアは紙質が悪く、日本製のティッシュは非常に使い勝手がよいです。また、たらこなどパスタの素はかさばらず、日持ちするので向こうで日本の味を手軽に味わえて便利ですよ。