絶景のチンクエテッレをめぐる旅

Cinque Terre

数千年の歴史と文化

個性豊かな20の州と彩りあふれる「食」

歴史的に、大小さまざまな都市国家が競い合い切磋琢磨して個性豊かな文化を生み出してきました。

ティレニア海に面したリグーリア州はリヴィエラ海岸沿いに美しい風景が続く。中でもチンクエテッレはハイライトとも呼べる美しさ。車でのアプローチはほぼ不可能なので、鉄道と船を利用してコンパクトに回りたい。

リグーリア州の海岸線に点在する5つの美しい漁師町の総称がチンクエテッレだ。南から順にリオマッジョーレ、マナローラ、コルニーリア、ヴェルナッツァ、モンテロッソ・アル・マーレ。それぞれ峻険な崖に囲まれているため海からのアプローチ以外は不可能だったが、鉄道が開通してようやく陸上からも行けるようになった。旅の起点はフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から。6時08分発のレジョナーレに乗り込み、ラ・スペツィア駅で5つの町全てに停車する列車、通称チンクエテッレ・エクスプレスに乗り換えると、やがて最初の目的地ヴェルナッツァに着く。ヴェルナッツァではまず地元名産の甘口ワイン、シャッケトラの生産者を訪ねたい。
チンクエテッレは文字通り5つの村からなる美しいエリア。北から南へと5つの村巡りをするなら起点となるのはモンテロッソ・アル・マーレだ。チンクエテッレ最大規模で朝市が立つ。そこから船でヴェルナッツァやコルニーリア、マナローラと巡るのもいい。

崖のような急斜面のブドウ畑から見下ろすヴェルナッツァの街はまた絶景。漁師たちが海から戻るとき、悪天候でも自分の家が見えるようにとカラフルに塗られたパッチワークのような街並みはまさに絶景。このあたりは新鮮な魚介類と上質なオリーブオイルも名産なので、ランチ時には地元の味を堪能したい。ヴェルナッツァから今度は船に乗り込み、マナローラを目指す。チンクエテッレではそれぞれの町を結ぶ遊覧船が運行しているので、どこかひとつの町で降りたら今度は船を使って次の町を目指すとその美しい風景が存分に楽しめる。マナローラも小さな港がある美しい町で、ヴェルナッツァに比べるとよりひなびた感じがする。マナローラからは海岸沿いに作られた約1kmの遊歩道「愛の小道」を通り、リオマッジョーレを目指す

リオマッジョーレはチンクエテッレの入り口の町だけあってかなり開けた感じがするし、「愛の小道」出口にはエレベーターまである。再びラ・スペツィアまでチンクエテッレ・エクスプレスに乗り、今度はピサ経由でフィレンツェに戻る。トスカーナ、リグーリア2州縦断のワンデイトリップだ。
チンクエテッレのハイライトはヴェルナッツァとマナローラだろう。鉄道が開通する前は海からしかアクセスできなかった小村には、今もなお現役の漁師たちが暮らしている。名物は新鮮なイワシやエビ、そしてリグーリアを代表する味でもあるフォカッチャ。リグーリア産のマイルドなオリーブ・オイルを使った本場のフォカッチャは一度試したい。食後にはやや強めのデザートワイン、シャッケトラもお忘れなく。

写真・文/池田匡克 Masakatsu Ikeda