トスカーナ、グルメ列車の旅

数千年の歴史と文化

個性豊かな20の州と彩りあふれる「食」

歴史的に、大小さまざまな都市国家が競い合い切磋琢磨して個性豊かな文化を生み出してきました。

世界遺産都市が多いトスカーナは、SLを活用して風景とグルメを一度に楽しむイベント列車が不定期で運行されている。春にはイベント予定が公開されるのでタイミングをあわせてトスカーナ世界遺産を美食とともに回るのもいい。

シエナを南下し、自然世界遺産であるヴァル・ドルチャ渓谷を巡ってシエナに戻る路線がヴァル・ドルチャ鉄道(FVO)だ。これは1994年に廃線となった路線を地元有志たちが復活させたもので、観光シーズンにはSLが登場して各地の村祭り「サグラ」とジョイントした「グルメ列車」を運行している。例えばワイン、栗、新オイル、ポルチーニなどなど。運行内容は毎年変わるが以前参加した「トリュフ列車」も非常にユニークだった。8時55分シエナをSLで出発し、サン・ジョヴァンニ・ダッソという村のトリュフ祭りにそのまま参加。参加者全員大テーブルにつき、地元名産トリュフ入りのパスタをほおばる。帰り道はヴァル・ドルチャの緑の丘から、荒々しいクレテ・セネージまで変化に富む景観を堪能してシエナに戻る充実の1日旅行だ。
イタリアにもローカル鉄道ファンは存在する。特にヴァル・ドルチャ鉄道はSL好きの地元有志が運行し、地元グルメを堪能できる稀有な路線。アミアータ山とクレテ・セネージに囲まれた世界遺産地区、オルチャ渓谷の絶景も堪能できる。

写真・文/池田匡克 Masakatsu Ikeda