ファッションとデザイン
歴史、音楽、料理と並び、イタリアの名を世界に知らしめたのが「ファッション」と「デザイン」。ファッション大国として世界のモード界をリードするとともに、工業デザイン、建築、インテリアの分野でもハイセンスなイタリアン・デザインは常に注目の的。世界中から熱い視線を浴び続けるイタリアン・デザインの秘密を探りに出かけましょう。
古代ローマの時代から、イタリア人は服の生地やデザイン、 住まいやインテリアに対するこだわりが顕著であったと言われています。
それは古来より、服装や道具、生活環境に対するイタリア人の感性が非常に豊かであったことを物語っています。 日常の暮らしに敏感なイタリア人のファッションとデザインの歴史をひも解いてみましょう。
ファッション
1978年にミラノ・コレクションが始まり、パリやニューヨークと並んで最新モードの発信拠点となったイタリア。しかし、イタリアがファッション大国となるための基礎は、中世・ルネサンス時代に形作られていたのです。中部、北部イタリアの小都市国家は、古くから織物、染物、裁縫などの手工芸によって栄えてきました。イタリアン・ファッションの魅力の基盤ともいえる確かな技術と豊かな感性、そして服飾に対する高い意識。アルマーニやグッチ、プラダをはじめとした世界的なデザイナーたちの感性が戦後一気に花開いた背景には、何世紀にもわたって培われてきたイタリア各地の伝統を受け継ぐ職人たちの技術が息づいているのです。
デザイン
イタリアで工業が盛んになったのは1800年代末から1900年代初頭にかけて。トリノ、ミラノ、ジェノヴァといった北イタリアの三角地帯が中心となり発展してきました。自動車メーカー『フィアット』が1899年に創業してから、イタリアの工業は飛躍的に拡大します。以来、フィアット、アルファロメオ、フェラーリといった自動車やヴェスパなどのスクーター、オリヴェッティのタイプライターなど、遊び心と高い技術が融合した製品が世界中に広がっていきました。近代においては、建築や照明、また家具や文房具にいたるまで、さまざまな「メイド・イン・イタリー」のデザインが、私たちの暮らしを彩っています。